年齢差別をする国

日本の大半の企業には「定年」があり、大手企業の多くには「役職定年」があります。

「役職定年」というのは、その名の通り一定年齢に達すると「部長」や「課長」と言った肩書を外されて、一担当者に戻るという制度です。製造業では55歳前後、金融業では50歳前後に設定している企業が多いと思います。

この制度が始まったのは、1986年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正され、定年が従来の55歳から60歳になったことが切っ掛けです。

企業はそれまで55歳までしか雇用義務がありませんでしたが、これが60歳に引き上がってしまったので、「コスト抑制策」として一定年齢に達した職員の肩書を外し、給料を下げることにしたのが始まりでした。これによって組織の新陳代謝を図ることも目的なのだと思います。簡単に言えば強制的若返り策ということです。

さらに現在は60歳の定年を超えた65歳まで雇用しなくてはならなくなったことから、60歳で大幅に処遇を下げる企業が多いと思います。会社によっては新入社員と変わらない給与になるところもあるようです。

日本ではこうした「定年」「役職定年」制度が当然のようになっていますが、実は欧米先進国では年齢を理由とした処遇の変更は年齢差別として禁止されています。

米国では比較的早い1967年に「雇用における年齢差別禁止法」が制定され、EUでも2000年には「雇用均等法」により年齢を含む雇用差別を禁じています。

日本でも、最近では一般的な男女の差別のみならず、ジェンダー差別をなくしていく努力が続けられていますが、不思議なことに年齢に対する差別に対しては批判の声は見られません。

然し今のような「年齢差別」が本当に将来も許されるのか、というと、大いに疑問を感じます。