芸能界の闇(2)

前回はジャニーズ事務所の問題について書きましたが、今回は吉本興業について。

まず驚いたのは、吉本興業とタレントの間には契約書が無かった、という点です。

もともと日本は先進国の中でも書面契約の習慣が相当に遅れている国の一つです。典型的なのは労働契約で、海外では仕事の内容や処遇まできっちりと書き込まれた労働契約を書面で締結しますが、日本の雇用契約書は職務内容が曖昧なことも珍しくありません。

吉本興業に限らず芸能界では給与がどう決まっているのかが判らない、といった話は以前から聞こえてはいましたが、書面が何もないとは流石に今どき有り得ないでしょう。

吉本興業は口頭で契約は成立しているとの立場であり、確かに法律上は契約が口頭でも成立します。それでも一般的に契約書を残すのは、双方の見解の一致を後日確認出来るからです。逆に言えば吉本興業が口頭契約に拘るのは、見解の不一致などさせない、吉本興業側が実質全てを決める権利がある、という姿勢の表れに他なりません。

もう一つ驚いたのは、吉本興業の株主に大手TV局の名前が連なっていたことです。確かにTV局としては吉本興業のタレントは重要な商売ネタですから、出資してコントロールしたい、他局に独占されたくない、という考え方は理解出来ます。然しその結果として、TV局が吉本興業に関して正しい報道が出来るのかには大いに疑問が残ります。

TV局に限らずマスコミの出資については、公平な報道の観点から芸能事務所への出資を禁止すべきでしょう。

ジャニーズ事務所と吉本興業という日本を代表するエンターテイメント会社こそ、率先して芸能界の闇を改善するリーダーと成り得るし、逆にこの2社が動かない限り日本の芸能界の闇は無くならない、そう感じています。