ふるさと納税について考える

未だに総務省の指導に従わない都市が少なからずあることで、一部には抜本的な見直しや、制度廃止と言った過激な意見もあるようですが、少なからぬ誤解や意図的な煽動報道も見受けられますので、今一度問題点を整理したいと思います。

そもそもふるさと納税は「納税」と呼ばれているものの、実際には所得控除出来る寄付であり、税金ではありません。

若者が地方から都会に出で行ったきりになると、地方は若者が納税者になるまでは税金で支えてきたにも関わらず、若者が納税者になったら都会で納税されてしまう、という不平等を解消しようとするのがそもそもの意図であり、それ自体はとても素晴らしい発想だと思います。

その趣旨に鑑みれば、「ふるさと」は必ずしも自分の出身地である必要は無く、人口減少する地方を創生する目的に合致するならば何処でも良い、と私は思います。

一部の大都市では、税収が減少して困る、との声も上がっていますが、そもそもの趣旨に照らせば都市部の税収は減って当然であり、何ら問題はないものと思います。

都市部の税収が減ってサービスレベルを維持できなくなる、との声も聞かれますが、その結果として一部の都市部にのみ人口が流れ込み続ける現状が改善されるならば、それもまた日本全体で見れば寧ろ望ましいことです。

どこまでを返礼品として認めるかですが、私はもう少し緩やかにしても良いのでは、と思っています。

流石にアマゾンの金券を配るのはやり過ぎですが、街に工場がある大手メーカーの電化製品くらいであれば、地元産品として認めても良いのではないでしょうか。

ふるさと納税は高額所得者優遇だとの批判もあります。確かにその側面が無いとは言いませんが、日本の税制は特に一般サラリーマンにとって過酷であり、必要経費すら殆ど認めてもらえない(基礎控除がそれに相当することになっていますが、自営業の方との不公平感は明らか)、寧ろ高すぎる税金の適度な調整弁になっていると言えなくもありません。

もう一つ見逃されがちなのは、地方アピールです。私自身、ふるさと納税を通じて、この街にこんな特産品があったのか、と初めて知ったものも多く、気に入った品物は翌年からふるさと納税ではなく普通に購入を始めたものもあります。

都市部対比アピール手段に乏しい地方にとって、ふるさと納税は格好のアピールになっているものと思います。

明らかに行き過ぎなごく一部に対しては厳しい対応が望まれますが、厳しくしすぎてふるさと納税の良いところが失われないように希望します。