千葉県大停電から学んだこと

十数年振りに日本に帰国した際、違和感を覚えたことの一つが街中の電柱の林です。

街中の至る所に電柱があり、網の目の如くに電線が張り巡らされている風景は、とても先進国とは思えません。

水道管の老朽化も国家レベルの問題となりつつありますので、日本国と各地方自治体は、抜本的なインフラ再整備に本腰を入れる時期でしょう。

今回の災害では他にも多くの気付きがありました。

一つ目は、現代社会は如何に情報を電波に頼って生きているか、ということ。何でもネット経由が当たり前になりつつある時代、携帯やスマホ、パソコンが使えないと、一気に情報孤立状態になります。

一部自治体では、災害関係の情報は自治体のホームページで、と案内していて「被災者は見られないだろ!」とツッコミを受けていましたが、ネットが遮断された際の代替連絡手段として、アナクロなツールが必要となる場合もあります。

何でも最新式にするのではなく、常に最新式が機能しなくなった場合のことも考えておくべきでしょう。

次に、常識を疑え、ということ。

東京電力や国・自治体の対応が後手に回ったとの批判も多いですが、率直に言って私も「台風による停電なんて直ぐに復旧するだろう」と高を括っていました。今の日本で、然も東京から車で1〜2時間の場所が何日にも亘って停電する、なんてことは想像もしていませんでした。

今までの経験ではこうだった、これが常識、という思い込みを捨ててあらゆる可能性を考える必要性を実感しています。

最後に、今後の都市の在り方について。

インフラ整備は必要、然し日本全国津々浦々の老朽化したインフラを全て最新に出来るのか、と言えば、資金面もさることながら、人口減少と地方の過疎化に鑑みれば、決して得策ではないでしょう。

そろそろ真剣にスマートシティ構想を日本中で具体化していく時期なのだと思います。

スマートシティ化を進めれば、結果的に「地方の中の中核都市」への集中、イコール「地方の中の地方都市の切り捨て」をせざるを得ません。その決断と実行には相当な労力が必要でしょう。

然し、政治家、役所、市民が一体となって進めていかなければ、今回の千葉県のような事態が、日本中のどこでも、より低いバーの事態で、発生してしまうことになります。

先ずは一日も早い千葉の復興と、被災された方々の安全とご健康を心よりお祈り申し上げます。