何故、人はデマを拡てしまうのか。

この記事を書いているのは2020年4月1日。

今日から新しい年度が始まるものの、例年のような新たな幕開け感はゼロ、寧ろこれからも続くであろう、ウィルスとの長い戦いの道のりの途中という感じです。

4月1日と言えばエイプリルフール。その起源には諸説ありますが、欧州では古来4月1日に新年祭を開催していたところ、1564年に仏シャルル9世が1月1日を新年とするよう改めたことに反発し、4月1日を「嘘の新年」と呼び始めた、という説が個人的には一番しっくり来ます。

今年は新型コロナウィルスに纏わるデマが飛び交う中、エイプリルフールの嘘は控えようとの呼び掛けが行われており、私も完全に同意します。

今、ウィルスの流行それ自体と同じくらいに怖いのはデマの流行です。

残念ながら私の周囲にも、根拠不明のSNS上のデマである4月1日から東京ロックダウン説を周りに拡散する人、事実認定がされていない解熱剤に関する説をあたかも真実であるかのように語る人、が後を断ちません。

皆さん決して悪意がある訳ではなく、寧ろ善意で「こんな良い事を聞いたから、皆んなに教えてあげなきゃ」とSNSに投稿、結果的には悪質なデマの拡散に一役買ってしまっていることになります。

そうした投稿を見る度に、ちょっと嫌な人になってしまうのは覚悟の上で、「その情報ソースは何処ですか?」、「全く反対の説も流れていますが、これについてはどう思いますか?」と問い掛けることにしています。

有り難いことに多くの方はこの段階で、あ、この情報はもしかすると単なるデマかもしれない、と思い直して頂けたようです。

それにしても、何故、人はこんなにも簡単にデマを信じてしまうのでしょう。

色々な説明を読んでみましたが、個人的にそうかなと思ったのは、「不安解消目的」です。

上記では「善意で拡散」と書きましたが、一方で「こんな危険な話を聞いてしまった。誰かに聞いて欲しい」と、他者に拡散することで自分の心の中の不安を打ち消そうとする心理が働いているというものです。

もう一つは「同調圧力」。ネットの上で多くの人が真実だと語っているのだから、真実なのだろうと思いたがる心理です。

恐らく表面的には善意の情報共有だけれども、その下の深層には、自分の不安解消と同調圧力への迎合があるのだと思います。

何故デマを信じて拡散してしまうのか、そのメカニズムを考えてみるだけでも、デマの拡散へのガードになるのでは無いか、と思っています。

エイプリルフールの今日1日、残念なデマが拡散されないことを心から願います。