ガッカリな緊急事態宣言。

かなり遅きに失した感はあるものの漸く出された総理の緊急事態宣言。然し総理や閣僚の説明は、その意義を大きく失わせるガッカリな内容でした。

ガッカリ(その1)ロックダウンせず

総理は会見で「今回の緊急事態宣言は、海外で見られるような都市封鎖、ロックダウンを行うものでは全くない。そのことは明確に申し上げる」と、わざわざ「全く」「明確に」とまで強調して、ロックダウンを否定しました。

我が国では法律上、海外のような強制力や罰則を伴う外出禁止や移動制限命令を出すことは出来ませんが、総理は国民の不安を煽らないよう、敢えてロックダウンしないと強調したのでしょう。

然しこれでは折角に緊急事態宣言を出したにも関わらず、その効果は半減どころかそれ以下となってしまいます。

多くの企業では「①総理の緊急事態宣言+②知事のロックダウン」を、休業や在宅勤務・自宅待機のトリガーとしていたものと思います。然しこの総理の説明では、①のみで②は満たされて無いことになりました。

実際、私の周囲に聞いてみても「緊急事態宣言は出たけれども、明日も出社するようにと指示が出ました」と言った声が少なからず聞こえて来ています。

ガッカリ(その2)理髪店は自粛不要

東京都は前日の説明で理髪店も自粛対象として挙げていましたが、政府はこれを明確に否定しました。

西村経済再生担当相は「理髪店と美容室は安定的な生活を営む上で必要な事業」とした上で、都が休業要請対象としていることに対し、「知事が使用制限を要請できるのは1000平方メートルを超える施設(であり理髪店は含まれない)」と説明しました。

客とスタックが確実に濃厚接触する理髪店を自粛不要な生活必須産業だとするならば、自粛対象は相当に限定的だというメッセージになります。これが許されるならば、この行動も自粛対象では無いだろう、と考え自粛しない人が多く出てしまっても仕方ありません。

実際、一部の近隣県知事は、飲食業全体は自粛対象とはしない旨を発表しています。これでは自粛の効果は相当に限定されてしまいます。

ガッカリ(3)総理vs都知事

元々、都民ファーストを立ち上げ、都議会自民党と対立した頃から、総理と都知事は相当に仲が悪いと言われてはいましたが、この緊急時にその仲の悪さが表面に出てしまったのは、リーダーとして相当にガッカリです。

ガッカリ(1)の総理によるロックダウン否定は、都知事が先走ってロックダウンも有り得ると発言したことへの明確な意趣返しでしょう。

ガッカリ(2)の理髪店の取り扱いも、感染拡大防止を最優先に自粛範囲を拡げたい都知事と、緊急事態宣言は出したが経済を失速させたく無い総理の思いが対立した結果に他なりません。

こんなことでは、一致団結してウィルスに打ち勝つなど、夢のまた夢です。

【おまけガッカリ】森田健作千葉県知事

昨年の台風対応以降、もはや何を話されても説得力のない森田千葉県知事ですが、今回の緊急事態宣言を受けた会見には、驚きを通り越して呆れ果ててしまいました。

森田知事は営業自粛について「公平性の問題もあり、具体的な指定は難しい。県民の皆さんが自身で行動を考えてほしい」と述べたそうです。

重要な判断を県民に丸投げするようでは、リーダーたる知事の存在意義はゼロでしょう。

既にマイナス印象しかない森田知事だからこそ、ここは失うものなど何も無いという勇気を持って思い切った発言を期待したのですが、残念の極みです。

この国も地方も沈み行く一方なのは、総理も都知事も県知事もこんなだからなのだろうな、という、本当にガッカリな緊急事態宣言な一日でした。