インバウンド依存のリスク

中国発の新型コロナウィルスが世界中で猛威を奮いつつあります。

中国政府は発生源の武漢空港を封鎖、団体海外旅行を停止するなど厳しい手段を講じていますが、未だ感染拡大の勢いは収まることなく、本日の報道では武漢から遠く離れた浙江省温州でも都市封鎖が開始されるなど、状況は日に日に厳しさを増しています。

例年であれば中国人旅行者が殺到する観光地も今年は閑散としており、銀座や新宿といった中国人による爆買いに支えられて来た商業エリアは売り上げ激減に頭を悩ませています。

今回我々が学ばなければならないのは、中国に限らず他国に依存する経済は非常に危ういということです。

日本国政府は、人口減少の打開策として観光立国を掲げ、大幅な来日観光客増加を目指して来ました。

もちろん外国人観光客を増やそうということそれ自体は、日本を知って貰う為にも重要な施策です。

特に、中国や韓国の二カ国については、必ずしも事実に基づかない反日感情を改善する為に来日して本当の日本を知って貰う事は非常に効果的であつて、今後も注力していくべき国策だと思います。

然し特定の国に経済を依存することは、そうした政策とは分離して考えていく必要があります。

中国はかつてから、外交で対立する国に対して自国民観光制限という対抗策を取って来ています。

仮に日中が厳しい外交対立に陥れば、中国政府は日本への観光制限を課してくる可能性は、過去の類例に鑑みれば否定出来ないでしょう。

そうした事態に陥った際に、果たして日本人、日本の観光地、商業施設は、毅然として対応出来るかと言えば、残念ながら、外交で折れても中国人観光客に来て欲しい、と言った声は一定程度出てくるものと思います、

今回のウィルス問題でも、他国が直行便を運休にする、中国との往来をストップする、と言った強硬策に出る中、日本国政府の対応は後手後手に回っています。

法律通りにしか運用出来ない官僚国家の弊害という点もありますが、矢張り経済的な影響を慮って対応が遅れたという側面は否定出来ないでしょう。

今回のケースを参考に、我々は特定国に経済を依存するリスクを再認識し、対策を予め講じていくべきだと考えます。