緊急事態宣言が延長されて1週間が経過していますが、東京都の新規感染者数はこのところ概ね横ばいと、ある程度改善したところで下げ止まっています。
そもそも多くの識者が指摘するように、1月に入って緊急事態宣言発出とほぼ同時に新規感染者数が減少傾向を示しています。
感染が拡大する原因となる行動から症状が出るまで1~2週間と言われていますので、緊急事態宣言が発出される1~2週間前が感染を拡大させる行為のピークだった、その後は当該行動は減少傾向を見せていた、ということになります。
ここから導かれるのは、緊急事態宣言は新規感染者数の抑制には一定の効果があったことを否定は出来ないながらも、新規感染者数が減った決定的な要素は他にあるのではないか、という仮説です。
それではその行動は何かと言えば、普通に推測すればクリスマスや忘年会といった年末の行事に伴う大規模飲食ではないか、と考えられます。
この仮説が正しいならば、闇雲な飲食店の営業自粛要請よりも、感染防止対策をきっちりと行った飲食店経営は許容しつつも、一定のリスクがあると思われる行為を厳しく取り締まっていく、という事ではないでしょうか。
具体的には、飲食店側については、時短要請を解除する代わりに、飛沫防止アクリル板の設置、換気設備の導入、客と客の間を離す席の間引き、といったことにガイドラインを設け、それを順守している店は時短要請も不要、逆に順守していなければ時間帯に関わらず営業禁止、といった新たな保健衛生ガイドラインを設けるといった方法が考えられます。
それにはコストがかかりますが、休業要請で出していた支援金を、こうした設備導入補助に回すことである程度は対応できるのではないでしょうか。
一方、今までのように店のみを規制するのではなく、客の側に対しても、大人数宴会の禁止、可能な限りでのマスク会食の実践、をルール化し、それに従えない場合は罰則を科す、ということも考えていくべきでしょう。
ところが現時点では営業時間自粛要請であるが故、逆に夜も空いているお店が密になり、路上で宴会する若者が増えるという、禁酒法を出したが故に地下では健康を害する悪質密造酒が流行する、ということに近い状況が発生しているように思います。
医療関係の専門家は立場上、「ゼロリスク」を求めるでしょうが、経済や生活とのバランスを取るのは政治家の役割です。
是非とも政府、官邸、都知事他地方の首長には、そうした決断と行動を期待します。