選択肢を三択(賛成・反対・どちらでもない)にしたことで漸く「県民」投票としての実施が見えてきましたが、然しなお非常に多くの問題をはらんでいると感じます。
先ずそもそも県民投票による県民分断の懸念です。選挙の場合は主たる論点はありつつもあくまでも選ぶのは我々の代表たる議員という人物ですから、意見が割れても次にその人物を当選させるかどうかの議論に留まります。
然し県民投票となると、意見が真っ二つに割れた場合、取り返しのつかない亀裂が県民の間に生じることになります。ブレグジットはそうなってしまった典型例です。
その意味で、県民投票を実施すること自体に大きなリスクがあります。
次に選択肢。投票に限らず世論調査なども、設問の設け方によって結果は大きく異なります。
当初二択だったのは大いに問題がありましたが、三択程度では本当の民意は反映仕切れない懸念が高いと感じます。
単純に辺野古に基地をつくる、という事だけを問えば、自然保護、米軍基地リスク、から結論は「反対」が多数になるでしょう。
然し、辺野古基地=普天間の縮小・返還、となれば、少なくとも普天間周辺住民は賛成に回るかもしれません。
更に、米軍基地自体を縮小すべきと考える人、米軍基地は維持でも県外に移転して欲しい人、米軍基地は維持でも自分の住む街からは出て行って欲しい人、があるでしょう。
更には、米軍基地縮小派でも、単純に軍隊自体縮小したい人、米軍縮小・自衛隊による代替を希望する人、もありそうです。
更に言えば、そもそも軍事基地は必要か?尖閣はどう守るのか?グアムからカバー出来るのか、等々、尽くさなければならない議論は沢山あります。
今回の県民投票がそこまで議論した上で行われるのであれば良いのですが、どうも県知事にとって都合の良い結論を導き出す為の二択から議論がスタートした結果、民意を正しく反映仕切れない中途半端な投票になっており、結果、寧ろ県民間に深刻な亀裂をもたらさ兼ねないことを大いに懸念しています。