日本人は本当に優秀なのか?

いまどきの若い人からすれば信じられないかも知れませんが、かつて私たち日本人は自らを「優秀な民族」だと信じて疑いすら抱いていませんでした。

近代化の中で言えば、世界各地が次々と欧米列強の植民地化する中でも日本は独立を貫いたばかりか欧米列強と肩を並べることの出来る唯一のアジア国家となった日本。

戦後の焼け野原から程なくして世界有数の経済大国になれた日本。

これは私たち日本人が世界にも稀なる実直・勤勉で優秀な民族だからだ、そう信じられていました。

然しバブル崩壊後の日本の歩みを振り返れば、日本は世界の発展から取り残され、生産性向上も進まず、優秀どころか実績から見れば寧ろ「劣後した民族」です。

中高年以上の中には、それでも「日本人は優秀だから、再び世界トップクラスの地位に返り咲ける」と主張される方も少なからず見受けられますが、はっきり言ってそれは余りにも楽観的で空疎な夢物語でしょう。

世界でも稀なるバブル経済崩壊を起こした日本。

その後、数十年も抜本的な手を打てず先進国中で最も経済成長しなかった日本。

未だに最低賃金すら先進国並みに上げられない日本。

ちょっと客観的に、冷静に現実を見つめてみれば、日本人が優秀だなどという寝言は到底言えないでしょう。

日本が高度成長期に急速に成長できたのは日本人が優秀だからではありません。極めてシンプルに、爆発的に人口が増えた「人口ボーナス」のお陰です。

これから急速に少子高齢化が進む中、「逆人口ボーナス」を跳ね返すくらいに、日本人には「変革」が必要です。今こそ、日本人が優秀であるならば、その優秀さを発揮しなければなりません。

然しオリンピックという外圧を得て漸く働き方改革などという、世界では当たり前の「サービス残業しない」「有休をとる」というレベルにすら行きついていない現状を見ると、やはり日本人の「非優秀さ」に将来を案じざるを得ません。