経団連が発表した「経営労働政策特別委員会報告」において、日本型雇用、例えば新卒の一括採用、終身雇用、年功型賃金、等が時代に合わないと指摘したとの報道があります。
昨今、特に優秀なIT人材を如何に確保するかが中長期的な経営を左右すると言われている中、従来の賃金体系ではどんなに優秀でも新卒を高給で採用することは難しい、という発想は判ります。
また、かつては要職で活躍したが今は会社のお荷物化している中高年が給料を貰い過ぎている、という批判もまた事実でしょう。
それでもなお私は、今回の経団連の発表に強い違和感を覚えます。
私は所謂「バブル採用」と呼ばれる新卒一括大量採用の世代です。20〜30歳頃は薄給にも関わらず朝7時半には出社・終電で退社、土日も何方かは出社、という日々を過ごしてきました。
毎月の残業時間は今で言う過労死ラインどころか、月200時間は越えていたと思います。
それでも残業代をつけられたのは30時間迄で、当時、月給を実労働時間で割ったらコンビニ店員よりも安かった事を鮮明に覚えています。
それでも不合理だと思わなかったのは、やがて中高年になれば寧ろ労働対比高い給料を貰えて、トータルでバランスすると思ったからです。
その観点から言えば、法的には既に時効とはいえ、中高年の貰い過ぎだと言われる処遇をカットするならば、若い頃の無償奉仕に見合うお金を返して欲しい、と感じます。
若くて優秀な人材に手厚い報酬を払うことは全く悪いとは思いませんが、経営者は今後、年功序列だからこそ保たれていた「愛社精神」的なものを社員に要求出来なくなります。
私は、年功序列と実力主義は決して対立する概念ではなく、両立し得るものと思っていますので、経団連、経営陣には、安易な発想に走らず、将来有望な優秀な若手と、今まで会社に貢献してくれた中高年、双方が幸せとなれる制度を真剣に追求して欲しいと思います。