ステーキ専門店チェーン「いきなり!ステーキ」が拡大路線を一転、今春までに約一割の店舗閉鎖方針を発表しました。
昨年12月に「来客が減少している」との社長手書きメッセージが店頭に貼り出されたことで「そこまで厳しい状況だったのか」話題になりましたが、結局、客足は戻らなかったようです。
元々、急拡大し過ぎてグループ内競合が起こってしまったことも客足減少の要因であろうとは思いますが、矢張り最大の理由は「高すぎる」ことにあるのだと思います。
「いきなり!ステーキ」は、確かに良いお肉を安く提供してくれているものと思います。然しそれでもなお多くの消費者にとって、一食に2000円以上を支払うのはそれなりの「贅沢」であり、頻繁に行く場所ではない、という結論になったのでは無いでしょうか。
率直に申して私もランチなら1千円越えれば高いと感じますし、夜でも居酒屋クラスのお酒付きで3千円を超えるとそれなりにやや高いかなと感じます。
各国の経済を測るのに有名な「ビッグマック指数」という指標があります。
ビッグマックは世界中で概ね同じ商品として販売されており、諸コストをベースに各国での価格が決定されているので、国家間の購買力比較に使うことが出来る、というものです。
通常はここから「外為相場」の妥当性を導く為に使います。即ち、日本でビッグマックが300円、アメリカで2ドルなら、1ドル150円が妥当な為替相場であろう、というものです。
然し私はそうではなく、寧ろ現在の為替相場から換算比較し、日本の価格の安さを示していると考えます。
この記事を書いている現在の日本のビッグマック価格は390円、ドル円仲直は109円ですから、単純計算での米ドル換算価格は約3.6ドルです。一方、現在のアメリカでのビッグマック価格は約5.6ドルですので、その観点から見れば日本のビッグマックは相当割安と言うことになります。
中国を中心としたインバウンドの爆買いが何かと話題になっていますが、これは単なる為替相場の割安感のみではなく、そもそも抜本的に日本の物価が安いことを意味しています。
物価が安ければ良いではないか、と思うかもしれませんが、それは即ち賃金の安さを反映している側面もあります。
つまり、「いきなり!ステーキ」は品質や利便性に仮に優っていたとしても、日本人の所得が低いので買われない、という分析も出来るものと思います。
実際、日本は長期デフレで所得が殆ど上がっておらず、急速に世界的に見れば低価格低賃金中ににシフトしつつあります。
「いきなり!ステーキ」問題を契機に、如何に日本人の所得をアップ出来るか、私たちは考えなければならないと思います。