老後破綻へと突き進む国

金融庁のお陰で(?)参議院議員選挙戦の論点の一つとなった年金問題。

各党其々の主張を見聞きして回りましたが、率直に言って全部ダメです。

「年金は100年安心」というのは、制度としての存続を言っているのであって、個々人が貰える年金が減らないということではありません。寧ろ逆で、個々人が貰える年金が減額されるから制度を保てるという事ですが、それがきちんと語られていません。

一方で、年金を減らさせないと訴えている政党もその財源はといえば、高額所得者の保険料の引き上げです。然しそれでは高額所得者の海外流出を加速させるのみですし、給与所得以外の所得が高額な人からきっちり取れるのかにも大いに疑問があります。

そもそも金融庁の試算にあるような「平均的」老夫婦は人数でいえば少数派で、今あんなに年金貰ってないよ、将来貰えないよ、というのが寧ろ日本人の「中心値」であろうと思います。

金融庁の幸せな老夫婦前提ですら老後に備えて20百万円も必要、と言われても、全体としては年金がもっと少ない人が多い中、本当はもっと老後への備えが必要ということになり、これはもう日本人の大半は老後破綻は確実では?と絶望的になります。

その金融庁的な幸福老夫婦モデルですら、万一大病を患ったら?天災などで家の改築費用と言った突発的な大口支出が出来てしまったら?矢張り老後破綻は確実でしょう。

こんなに老後が心配な国では、とても幸せな国とは言えません。

人間として幸せな安定した人生を保証するような国家レベルでの制度設計が必要です。

そう考えると、年金制度云々ではなくもっと抜本的に、消費税を大幅にアップし、学費から医療までかなりの部分を国が負担する、と言った北欧型な社会福祉モデル国家に切り替えが必要ではないかと思います。

年金はその末端に過ぎません。

然しそういう肝心の議論が選挙戦で全くされていないところに、この国の危うさがある、と、与野党の選挙演説を聞いていて強くらい感じました。