高速リニアは本当に必要か

静岡県の川勝知事とJR東海の間で揉めている話題ばかりがマスコミに取り上げられますが、高速リニアを本当に商業化する意味があるのか、極めて疑問です。

現在の新幹線より速くとも、当然お値段は高くなります。そこまでして急ぎたい人がそんなに沢山居るとは思えません。

JR東海が2010(平成22)年に算出した資産では、高速リニア料金は「のぞみ」指定席の料金に加算される額として、東京~名古屋間では+700円、東京~大阪間では+1000円、としました。

然しその後10年以上が経過し、①コロナ禍以降はリモート会議が増えリアル出張が減り新幹線ですらビジネス利用が減っていること、②足元で資源を中心に物価が高騰していること、③長らく続いたデフレ不況でコスト削減を継続している企業が多いこと、等、相当に前提が変わってきています。

JR東海は10年以上前を最後に、リニアの料金案を発表していませんが、どう考えても初期投資を考えればこのような金額で済む筈もなく、新幹線の価格からの逆算でしかないと感じます。これが可能なのは、JR東海が新幹線で上がった収益でリニアの赤字を補填する前提では無いのかとも推測されます。それなら新幹線を安くすべきな気もします。

結局、ごく一部のセレブや政治家、企業のお偉いさんしか乗らないような代物となるのであれば、巨額の費用を投入してまで継続する事業では無い気もします。

世界的に見ても、現在、高速リニアの商業化を進めている国は中国と日本くらいで、それ以外の国は既に商業化は取りやめているようです。本当にメリットがあるならば、各国で開発競争が続いていてもおかしくありません。

かつ、日本と同じく高速リニアの開発を継続している中国でも、然し現状は相当に厳しいようです。20年以上前に世界で初めて実用化された上海リニアは、然しコロナ禍で利用客が激減、技術維持も徐々に難しくなり、また中国らしからず住民の反対などもあって延伸もされず、もはや何の役にも立たない代物になりつつあるようです。

中国において鉄道は国策事業でもあるので、喩え採算は取れなくとも国家として意義があれば推進する筈です。その中国ですらそんな状況ということは、やはり高速リニアには何か致命的な問題があるということなのかもしれません。

そもそもこのリニア計画は本当に必要なのか、そこから問われるべきだと感じます。

もはや旅は早ければ早い程よい、という時代では無いのですから。