不足する社会保険料対策を主たる目的として、政府は65歳まで延長された定年を更に70歳に引き上げようとしています。
皆さんも周りを見てお気づきと思いますが、同じ70歳と言っても相当な個人差があります。
まだまだ元気いっぱいで外見も60歳かそれ以下に見えるような元気なお年寄りもいれば、失礼ながらもお迎えが近そうな方もおられます。
但し、どちらのタイプも組織においては「老害」となるリスクがあります。
一番タチの悪いのは、年齢が上がっても役職に残っているパターン。
一般企業だと、オーナー企業の社長一族でもない限り70歳で現役役員という事はあまり無いでしょうが、最近何かと話題のスポーツ関連の協会などは元気なお年寄りが会長などの役職に就任されているのは、そう珍しい事ではありません。
個人差があるのであまり決めつけてはいけませんが、然し70歳ともなれば脳味噌も身体能力も間違いなく衰えています。またどうしても歳をとっていると自分の経験の範囲内で判断を下しがちになります、
結果、組織の活性化や革新の阻害要因になってしまう事は少なくないでしょう。
決定権のない立場で70歳まで組織に残った場合、今度は逆に本人のモチベーション維持が心配です。
現在の65歳まで延長された定年で会社に残った場合ですら、殆どの企業では給与が大幅にカットされ、仕事の内容も補助職になります。
70歳定年になった際に、どんな処遇となるかは想像に難くありません。そんな立場の年寄り社員は、場合によってはメンタルが不安定で扱いづらい人になっているかもしれません。
結果、役職にある老人もない老人も、現役世代にとっては単なる「老害」と化しているでしょう。
政府は定年延長するならば並行してそうした「老害」問題をどう解決するか考えるべきですが、残念ながら政治の世界はそうした「老害」の宝庫に見えるので、あまり期待できないでしょう。
私たちはこれから訪れる超高齢化社会とそれにより生じる老害にどう向き合っていくのか、そろそろ真剣に考えるべき時だと思います。