「働かないおじさん」から若者たちへ

最近、若手社員から「働かないおじさん」が批判されている、といった記事を目にする機会が増えてきたように思います。

私自身、「働かないおじさん」と呼ばれている年代ですが、「働かないおじさん」にはそれなりの想いがあるだろう、と感じています。

「働かないおじさん」が働かない理由の一つは、生涯賃金でバランスを取ろうとしている人も少なくないだろうと思います。

今のおじさん達が新入社員のころは、「24時間、働けますか」などという、今なら労基に叱られそうな宣伝が当たり前のように流れていた時代。早朝から深夜まで、休日も残業代など無しで働かされているのが当然でした。

私自身、20代~40代までは、今ならば過労死レベルを遥かに超えた残業を、残業代殆ど無しでやっていました。一番厳しい労働環境だったときは、土日も休めたのは月1日程度、朝は7時から、夜は終電まで働いていました。

その時代はどう考えても貰っていた賃金より会社に提供した労働の方が多かったでしょう。

実施、月給を労働時間で割ったらコンビニレジより安いよね、と先輩方と皮肉を言い合っていたものです。

そんな若手~中堅時代を過ごし、ポストオフして肩の荷が下りてからは、今度は会社に提供する労働よりも多くの賃金を貰うことで、通算ではバランスしている、という発想です。

然し最近では働かないおじさんに対して、一定年齢でポストオフし、肩書が下がった分だけ給料もしっかりと下げる企業が増えてきました。

そんな時代のいま、年齢を理由に役職から外されて給与を下げられ、然し何とか認めて貰おうと奮闘したけれども、結局は用済みなのだなと必死に働くことを諦めて日々流すようになった、という「おじさん」も少なく無いと思います。

「働かないおじさん」撲滅には、年齢を理由に役職から外すことをやめ、年齢が高かろうと低かろうと実力で管理職を選抜するべきだと感じます。

どこの会社もバブル採用の「おじさん」が年齢構成的に余っていたところ、合理化等でポストも減る中、貴重な若手や中堅のモチベーションアップの為にも「おじさん」にはとっとと席を空けて貰おう、という経営判断をした結果として生まれているのが「働かないおじさん」なのだと思います。

「おじさん」が用済みならば、退職金上積みの早期退職制度を作れば良いのですが、それすらしないのは会社側の怠慢だとも言えます。

そして「働かないおじさん」を批判する若者は、そうしたおじさん達が十数年後の自分たちかもしれない、と、ちょっとだけ立ち止まって考えて欲しい、とも思います。