世界経済フォーラムの「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数(2019年版)」が発表されましたが、日本は153ヵ国中121位と過去最低順位(114位)を下回ったとのこと。
この指数は、経済・教育・健康・政治の男女格差を分析したもので、特に日本の男女格差が大きかったのは「収入:108位」「管理職数:131位」「女性閣僚比率:139位」だと報じられています。
私は主に海外駐在員の経験が長かったことから、日本に帰国して感じた大きな違和感の一つが男女格差でした。
最近でこそ総合職と補助職と言った区分を無くしたり、出産育児休暇制度が整ってきたとは言え、大半の会社では未だ「長」のつくポストの圧倒的多数は男性であり、これがそのまま男女の経済格差に現れています。
政治の世界を見ても、国会議員の女性比率は未だ1割前後、閣僚も女性登用がニュースになるようなレベルで、女性総理誕生など、夢のまた夢でしょう。
特段宗教的な理由もなくここまで女性の地位が低い日本は、その観点から言えば相当な後進国であり、私達一人一人がそれを恥じねばならないレベルだと私は思うのですが、残念ながら日本ではそう思っていない方も相当数おられるからこそ、現状が変わらないのだと思います。
女性の地位が低い最大の理由は、女性の社会進出を後押しする制度が乏しいから。家事や育児を当たり前のように女性の仕事だと思っている人は男女問わずまだまだ居られますし、女性を家事や育児から解放する社会インフラも大幅に不足しています。
因みに、家事や育児から解放するインフラが不足しているから働きに出られないと訴えている人の殆どが女性であるという時点でこの国の男女格差の悲惨なレベルを物語っていますが、マスコミですら「保育園が足りない」と報じるのみで、家庭における男性の役割に迄は踏み込んでいません。
この状況を打破するには一定の強制力が必要で、その第一歩が議員のクオータ制だと私は思っています。
クオータ制とは、英語でquota system、直訳すれば「割当制度」で、男女格差に関わらず、構成員の比率を代表選出に反映させることを言います。
そんなことをしたら、男なら到底当選しないレベルの女性が議員になってしまい、逆だと男女差別だ、というご意見を仰る方もおられますが、この批判は全く的外れです。
そもそも現在は女性が立候補し難い環境だからこそ、本来なら代表者たる資質に欠ける男性が当選してしまっている、というのが実態でしょう。
先ずは女性議員を増やして女性の社会進出インフラを整備すること、それこそが最優先課題だと私は思います。
ところが残念なことに一部保守系議員の中には男女を問わず、女性の社会進出が増えれば少子化が加速する、とか、選択的ですら夫婦別姓を導入すると家族が崩壊するとかを真顔で主張している人がいます。
そんな議員がいるからこそ、この国は変わらないのだと思います。
つまり私たちが投票という行為によって男女格差を維持しようと考える議員を落選させること、が私たちが最初に出来ることだと思います。