大阪都構想の住民投票結果を考える

2020年11月1日、大阪都構想の住民投票が即日開票され、前回同様に僅差で否決との結果になりました。

ご存知の方も多いとは思いますが、大阪都構想の概要は以下の通りです。

・大阪府と大阪市の重複機能を整理・再編し、東京都と23区のような体制とすることで行政の効率化を図る

・人口約270万人の大阪市を約60万~75万人の4つの特別区に再編

・大阪市が保有する都市開発やインフラ整備などの権限を大阪府に一元化

・特別区は教育や子育て支援など身近な住民サービスに特化

・住民投票には法的拘束力あり

今回も否決された要因は何なのか、私なりに考察してみました。

まず最大の理由は、コロナ禍において「大阪都構想」なるものの説明が不足していた為、賛否に悩んだ人は反対に投票したのではないか、という点です。

前回の投票では数多く開催された説明会も今回はコロナ禍で極めて限定的な開催であり、且つこの半年、世論の関心はコロナ対策に向いていました。

財政負担の必要なコロナ対策があるからこそ行政の効率化を図る都構想の実現が必要との考え方も理解しなくはありませんが、然しこのタイミングで住民投票を実施したのは戦略ミスと言わざるを得ません。

次に年代別の投票結果を見てみると、意外なことに10代・20代が反対多数だったことが判りました。

最近の若者は新しいことにチャレンジする意欲が乏しいなどと言われることもありますが、足元の社会や経済情勢に必ずしも不満を抱えていない、現状維持を望む若者が少なからずいたことが、都構想否決のキーだったとすると、これもまた都構想の必要性が浸透していなかったことの証査と言えるのかもしれません。

最後に、やはりいざ決断するとなると、今まで慣れ親しんできた市名などにこだわりを感じた人が多かったからなのでは無いでしょうか。

日本全体の都道府県を再編する案が出た際にも、隣の県と一緒になりたくない、慣れ親しんだ県名を守りたい、といった意見が少なからず見られました。

心情的には大変よく理解出来るのですが、然しこうした保守的な発想こそが、少子高齢化や地方過疎化の進む日本の中長期的成長を阻んでしまうことを大いに懸念します。