最近「ピーターの法則」という言葉を耳にする事が多くなりました。
「ピーターの法則」とは平たくいえば、
ヒラ社員が出世して係長にはなれたが課長にはなれない、課長にはなれたが部長にはなれない、部長にはなれたが役員にはなれない、役員にはなれたが社長にはなれない、という出世構造の結果、全ての階層は次の段階に進めなかった無能な人で満たされていく、というものです。
この法則は1969年、南カリフォルニア大学のピーター教授が提唱したそうなので、決して日本特有の話ではありませんが、それでも日本により一層当てはまってしまうのは、日本企業の文化にあるように思います。
野球では、「名選手必ずしも名監督に非ず」などと言われます。
プレーヤーとしての能力とマネージャーとしての能力は全く別物であり、寧ろプレーヤーとして天才的だったが故に普通の選手が抱える問題が理解出来ず、プレーヤーとしては大成しなかったからこそ全体を見渡して管理出来る、ということがあります。
その典型とも言えるのが、長嶋茂雄さんですね。
スポーツだと分かり易いので誰でも「そりゃそうだよね」と思えるのですが、不思議なことに一般企業の中ではこの「名選手〜」がまかり通っています。
優秀な成績を上げた営業マンが出世して管理職になると、優秀な営業マンが一人減って無能な管理職が一人生まれる、というのはどこの会社でも見かける光景です。
どうしてこんなことになるのかと言えば、日本では
・サラリーマンが出世階段を上って管理職や経営層になる。「経営のプロ」はまだまだ少数派。
・スペシャリストよりもゼネラレストが出世しやすい構造。スペシャリストをそのままで厚遇する給与体系になっていない
という背景が要因なのだと思います。
今更ながらも、日本の大企業も、そろそろこの高度成長期モデルから脱しないと、伸びてきた途上国企業に太刀打ち出来なくなる日もそう遠くないと感じます。