リニア中央新幹線は本当に必要か。

一部区間で実験走行を行なっているJR東海のリニア中央新幹線ですが、現在の計画では2027年に品川-名古屋で先行開業、2037年には品川ー大阪間の全線開通を目指しており、開通すれば品川-大阪間を約1時間で移動出来るようになります。

然し報道によれば静岡県はリニア工事の影響で大井川の水量減少が懸念されるとして県内の着工を承認しない状況とのこと。

静岡県の要求は、(1)トンネル工事で発生する湧水の全量を大井川に戻す、(2)大井川流域の環境を保全する、の二点とのことですが、静岡県内に停車駅がないことに対する嫌がらせではないか?との批判もあり、本当のところはよく判りません。

然し私は、そもそも今の時代に果たして本当にリニア新幹線など必要なのか、大いに疑問を感じています。

一つ目の問題は経済効果。

リニアが出来て東京ー大阪間が一時間で結ばれれば往来が増えて経済波及効果が生まれる、と関係者・機関は説明していますが、普通に値段設定すれば現行新幹線より相当割高な料金設定になること確実で、そこまでして二時間を一時間に短縮したい人がどれほどいるのでしょうか。また仮にいたとしても現行新幹線の利用者がリニア新幹線利用者となるだけで、往来が大幅に増えることなど有り得ないのでは、と感じます。

次の疑問は採算性。

総事業費は10兆円にも上ると言われていますが、これだけの巨額投資であれば余程高い値段設定にしないと採算が取れません。然し前述の通り値段を上げてまでの需要がそれほどあるとも思えず、開業前から赤字確実でしょう。結果、恐らく国費=税金での補填が不可避では無いかと思います。今の日本の国庫事情を考えれば、これを税負担するのは国民の理解を得られ難いでしょう。

そして懸念される3点目は安全性です。

電磁波云々は率直に言ってよく判らない点が多いですが、それ以外にも山をくり抜き水辺を突き抜けて走る路線は本当に大地震や昨今の集中豪雨に耐えられるのか、疑問が残ります。

既に高度成長期は遥か昔話となり、少子高齢化へと突き進む今の日本では、かつてのような、少しでも早く、ではなくのんびりとした移動が見直されていくようにも思います。

そんな今の日本で、本当にリニア中央新幹線は必要なのでしょうか?