今回の参院選にて(失礼乍らも)大方の予想に反し「NHKから国民を守る党」が議席を獲得し得票率で政党要件も満たす、という結果となりました。
この政党の目的ですが、HP上の党規約は以下の通りとなっています。
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1 NHKの受信料制度について、多くの国民及び視聴者が真剣に考える機会を提供すること。
2 受信料制度に疑問や不満を感じている国民に、同制度に関する法律や条例を制定または改廃する機会を提供すること。
3 本会の目的を実現するため政治家を志す者に対し、その志を実現するための機会を提供すること。
4 本会の目的に共感し志を同じくする国民及び視聴者が協力して行動できる機会を提供すること。
5 強い正義感と責任感から内部告発をした者及び内部告発をしようとする者や、同じく内部告発に関わることによって精神疾患となった者が、その正義感や責任感が正当に評価され、その評価に相応しい職場環境での労働が実現するために最大限の援助をすること。
6 上記1ないし5の実現を目指すことにより、国政の発展と国民生活の向上を図り、あわせて会員相互の親睦を深めること。
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また上記規約には記載されていませんが、選挙公約によれば「NHK放送のスクランブル化」を最終的な目標としているようです。
NHKについては、私は「国有化」を図るべきだと考えていますが、その根本はこの政党の主張と同様に、やはり受信料の不自然さにあります。
受像機を有しているのみで強制的に受信料を徴求するということであれば、これは一種の税金のようなものです。国家機関であればまだしも、NHKは単なる「公共法人」。一介の法人が法律に守られて料金を強制徴求するという方法が現代社会において許容されるのか、大いに疑問を覚えます。
私は故にNHKを国有化し、正々堂々税金で運営する、その代わり報道内容も国営放送ならではの内容に限定する、とすべきだと考えています。
一方で「NHKから国民を守る党」はスクランブル化、即ち受信料を支払った人だけがNHKを視聴できることを目指しています。
これに対する政府の反論は以下の通りです。
・公共放送としてのNHKの基本的性格に影響を及ぼす。受信料は公共放送の社会的使命を果たすため、必要な財源を視聴者全体に公平に負担いただくことが適当
・NHKは災害報道や政見放送など公共放送の社会的使命が求められる。スクランブル化は技術的な話ではなくNHKの基本的な性格を根本的に変え、NHKと民放の二元体制を崩しかねない
・一見合理的に見えるが、全国どこでも放送を分け隔てなく視聴できるようにする、公共放送の理念と矛盾し、問題がある。市場原理によらず、公平かつ安価に提供することに努めることは公共放送としての責務
然し、これらについては容易に反論することが出来ます。
まず災害報道などの緊急時にスクランブルを解除することは技術的に極めて容易であり、スクランブル化を行わない理由には全くなりません。
市場原理によらず公平・安価にというのはその通りですが、であれば、現在、NHKにてドラマやバラエティ紛いの番組が製作されていることの意義を説明しなければなりません。
全国どこでも視聴、至っては一体いつの時代の話をしているのか、今どきは電波よりもネット経由で情報を得る時代だということを、お年を召した政治家は知らないようです。
「NHKを国民から守る党」の方針に全面賛同は出来ませんが、然しNHKを何らかの形で改革しなければならない、という点については私も同意です。