コロナ禍における「復興五輪」の在り方について考える

コロナ禍での開催にすっかり話題がシフトしてしまった東京五輪ですが、当初掲げていたのは「復興五輪」でした。

復興庁のHPには以下のように定義されています。

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「復興五輪」は、

・東日本大震災に際して、世界中から頂いた支援への感謝や、復興しつつある被災地の姿を世界に伝え、国内外の方々に被災地や復興についての理解・共感を深めていただくこと
・大会に関連する様々な機会に活用される食材や、競技開催等をきっかけとして来ていただいた被災地の観光地等を通じて、被災地の魅力を国内外の方々に知っていただき、更に被災地で活躍する方々とのつながっていただくことで、大会後も含め「買ってみたい」「行ってみたい」をはじめとする被災地への関心やつながりを深めていただくこと
・競技開催や聖火リレー等、被災地の方々に身近に感じていただける取組を通じて、被災地の方々を勇気付けること
等により、復興を後押しすることを主眼とするものです。

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3月25日、国民の中に賛否両論が渦巻くなか、聖火リレーがスタートしました。初日のコースは原発の被災地、福島県。

メディアの多くは「この日は復興の歩みを進める沿岸部を走った」と伝えていますが、これに対して被災者が反論している報道を見かけました。

今でも避難生活を余儀なくされているその方は、「復興」をアピールするが故に、奇麗に再整備されたところばかりがコースに選定されていること、その裏には膨大な避難区域が残されているにも関わらずそちらはコースに選定されていないこと、を憤っておられました。

東日本大震災から10年目の2021年3月11日時点、 今も避難しており故郷に戻れていない方は全国に41,241名おられるとのこと。

除染が終わっていない、もしくはそもそも除染される予定すらない土地はまだまだ膨大に残されています。

東京五輪誘致の際、安倍総理(当時)が「アンダーコントロール」だと主張した福島原発は、確かにメルトダウンしていないというレベルではコントロールされていますが、未だに廃炉の目途すら立たず、溜まり続ける汚染水の処理すらままなりません。

日本は、東北は、福島は、まだまだ「復興途上」なのです。

復興庁HPが掲げる1点目「復興しつつある被災地の姿を世界に伝え」が「復興五輪」の目指すところであれば、復興が進んでいない負の真実もまた、復興が進むエリアと合わせて世界に伝えていくべきでしょう。