前回に続いて、日本が「おもてなしの国」とは思えない事例について書きます。
6月24日のNHKドキュメンタリー「ノーナレ」で、縫製工場で働くベトナム人技能実習生の過酷な労働現場の様子が報じられました。某地方名産品の製造現場であることが推測されたので、その後、一部で不買運動に繋がるなど波紋を広げています。
然し「技能実習生」の実態については、今回のNHK報道のずっと前から、実質は低賃金労働者として扱われていたことは、恐らく多くの日本人は知っていた筈です。
日本人の給与では立ちいかない経営者が技能実習生を単なる低賃金で使える労働力として過酷な環境でこき使う、派遣する国の業者もぐるになってパスポートを取り上げたりして行動の自由も奪う、まさに現代版の実質「身売り」のような実態。
発展途上国のド田舎の工場の話ではありません。
仮にも先進国の一角を占めている筈の日本で、そんなことが堂々と行われ、且つ実はそんな実態を知っていたにも関わらず改善してこなかった状況。
実態を知っていても改善してこなかったのは、外国人労働者から「搾取」しないと成立しない企業が票田になっている政治家や地元企業を守りたい地元政府が「見て見ぬふり」をし、外国人労働者の生活の様子を薄々知っていた周辺住民も「見て見ぬふり」をし、報道などで何となく気づいていながら「見て見ぬふり」をしてきた私たち日本人一人一人、が原因です。
こんな状態が長期に放置されていて、これの一体どこが「おもてなしの国」なのでしょう。
それとも、わが国の言う「おもてなし」とは、お金がある、お金を落としてくれる外国人にだけ向けられるものなのでしょうか。
私も日本の個々のサービスについてレベルが高いことを否定するものではありません。然しわが国の根底に流れる「空気」は到底「おもてなしの国」などと誇れるものではない、と感じています。