金融庁レポートについて考える

金融庁が作成した「老後に備えて20百万円が必要」との報告は、日本社会に、金融庁が意図しなかった方向で、かなりのインパクトを与えました。

金融庁が本来言いたかったのは、預貯金ばかりではなく投資もしましょう、ということだったのだと思います。20百万円云々は典型的な老後の収入と支出の差が毎月5万円、という数値から導き出したに過ぎないものです。

率直に言って、今後、年金だけで老後は安泰だ、などと考えている人がおられたのであれば相当に能天気と言わざるを得ず、年金では足りない資金を、

①予め貯蓄しておく

②老後も働く

③支出を抑える

で備えておくのは必須です。

その観点からいえば金融庁レポートは決して方向としては間違っていませんが、それでも今までの政府説明を殆ど考慮しないでこの報告を出したのは、如何にも説明不足です。

一方、参院選を控えた自民党が慌ててこのレポートを全否定し「受け取らない」としたのも、如何にも都合の悪いことから逃げています。

将来の年金財源が不安なのは国民共通の認識なのですから、ここは逃げずに正面から年金の将来について議論して欲しかったと思います。

結局、選挙に勝たねばただの人になってしまう政治家に丸投げしていても年金問題は解決しません。

私達一人一人が年金の在り方について正面からがっぷり四つで考え、国民レベルで議論する時が来ていると思います。

その意味で、金融庁レポートは国民的議論の切っ掛けになり得た筈なので、自民党に握り潰されてしまったのは如何にも残念でなりません。