それでも拭えない中国の疑惑

中国のHuawei(華為)を巡って世界が二分されようとしています。

アメリカ政府はHuaweiが情報を盗んで中国政府に流しているとして徹底排除を訴え、中国政府は中国企業がそうしたスパイ活動をすることはないと反論しています。

Huaweiが実際にどうなのかを判断する専門知識を持ち合わせていませんが、一般的に言われている「国家情報法」による「組織・個人の国家への情報提供の協力」のみならず、中国憲法それ自体が、実はどうしても拭えない中国の疑惑の根幹になっていると感じます。

日本で憲法改正が論じられる際、「憲法とは権力を縛るもの」という論調がしばしば見受けられますが、中国の憲法はそうではありません。

中華人民共和国憲法の「前文」は非常に長いのですが、その中には何度も「中国共産党の指導の下」という言葉が出てきます。つまり、中国では憲法よりも共産党が上位に位置している、ということになっています。

これが何を意味するかというと、中国でどんな法律が「企業を守る」「情報を搾取しない」と定めようとも、共産党が命じればそれを超越できてしまう法体系になっている、ということです。

したがって、いくら中国政府が「中国の法律上、Huaweiは情報を盗んで中国政府に提供することはできない」と主張しても、中国共産党が命じれば法律を超越出来てしまうところに大きなロジック上の問題がある、ということです。

このまま世界が「Huaweiを認める社会」と「認めない社会」に二分されても、何も良いことはありません。かつての冷戦よりも恐ろしい時代が訪れるのみです。

そうした事態を回避するためにも、ぜひとも中国政府には、「法律上」という説明のみならず「中国共産党が命じることもないし、仮に共産党が命じても企業は法律を優先し、共産党に従う必要はない」と明言して頂きたい、と強く願います。