香港のキャリー・ラム行政長官が漸く「逃亡犯条例」の正式撤回を発表しました。
香港市民からの反発を受け「この条例は死んだ」と言いつつ、一方で断固として「撤回」と言わなかった以上、客観的には「この人、タイミングを見て、またこの条例を復活させるつもりだな」と、香港市民のみならず世界中の多くの人が感じていたことでしょう。
そして世界中の多くの人が、今回の撤回を「何で今頃」「遅すぎる」と思ったのではないでしょうか。
図らずもリークされたキャリー・ラム長官の「もし私に選択肢があればまず辞任し、深く謝罪したい」「行政長官は不幸なことに、中国政府と香港市民の2人の主人に仕えなければならない」との言葉は、然し彼女の葛藤を率直に表しています。
本音では辞職したくとも、残念乍ら彼女には辞職する自由はありません。デモ要求による辞職は即ち「民意によってトップが交代する」こととなり、中国政府が最も恐れている事態だからです。
民主派の掲げる五大要求のうち、長官の辞任と民主的選挙は、中国政府にとって絶対に飲めない条件である以上、落とし所が全く見えない状態になっています。
一方で、香港市民が心から求める民主主義の生みの親とも言えるイギリスでは、EU離脱を巡って揺れに揺れています。議会は離脱期限延期を決定、これに対して首相は議会解散総選挙を目指すとしており、こちらも落とし所が見えなくなっています。
このイギリスの問題は、もう少し俯瞰してみれば、今、民主主義国家を闊歩している「ポピュリズム」が根幹にあり、更にその根っこには、グローバリズムでメリットを享受出来なかった多くの一般国民の怒りがあります。
非民主的・民主的、何れの国でも落とし所が無い袋小路に追い込まれている今の世界。人類は果たしてここから一歩先に進めるのか。
私は、この先に待っているのは、ヒトではなく、AIが決定する社会では無いか、と思っています。
人工頭脳であれば、感情に流されることなく、個々人の権益に引っ張られ過ぎることなく、冷静且つ客観的で公平な、全体でメリット最大化が図れる国家運営を行えるでしょう。
然し、私はそんな国には住みたく無いなぁ、と思うので、国民・市民一人一人の力で何とか民主主義を立て直していきたい、そう思います。