現在の年金制度の問題点

年金制度の将来に対する不安を感じている方も多いと思います。

今回は現行制度の問題点について纏めてみました。

(1)賦課方式

現在の年金制度は「賦課方式」と呼ばれている形式で、非常に単純化して言えば、現在高齢者に支払う年金を現役世代が負担する、というものです。

然し少し考えればこの制度は現役世代と高齢者の人口がバランスしていないと成り立たちません。

高度成長期のように人口がどんどん増えていく時代であれば全く問題なかったでしょうが、少子高齢化に向かう中、現役一人当たりの負担がどんどん重くなっていくのは火を見るより明らかです。

最近、年金支給年齢を70歳超まで選べるようにする改正案が議論されていますが、基本的には70歳以降に引き下げて増える年金額と、短くなった余命がバランスするように設計されるので、この改革では理屈上は賦課方式の問題は解決されません。

逆にこの制度導入で解決しようとしているならば、「年金受給を遅らせて、且つ早く死んでくれ」ということを意味します。

本来であれば賦課方式ではなく積立方式、つまり自分が払った分を運用して貰って老後に受け取る、とすべきだったのでしょうが、今となってはその方向に大きく舵を切るのは相当な困難が伴うでしょう。

(2)3号被保険者

次の問題は、減少しつつあるとはいえ「専業主婦(専業主夫)」の特別扱いです。

会社員の妻(夫)は「3号被保険者」となっており、自身では年金保険料を支払っていなくとも、会社員たる夫(妻)が年金保険料を支払うだけで、将来の年金を受給することが出来ます。

自営業者の配偶者にはこの制度はありません。

これはどう考えても奇妙な制度ですが、すでにこの制度で走り始めて相当数の人が恩恵を受けている以上、これをやめようと思えば、日本中の大半の家族構成が共稼ぎになり、夫婦ともに保険料を納めるようにならないと難しいでしょう。

時代の流れ的にはいずれは修正出来るときが来るかもしれませんが。

(3)運用

私たちが支払った保険料のうち過去には保険料の方が多かったことから150兆円近い額がファンドとして運用されています。

実はこれがどう運用されているのか、実質私たち保険料を払っている国民の資産であるにも関わらず、説明が不足しています。

まれに運用方針についての記事が出ることもありますが、恐らく多くの国民は読み飛ばしてしまうでしょう。

私たちの資金がどう運用されるのか、私たち自身がもっときちんと監視すべきだと思います。

年金制度はこのままでは破綻すると言われて久しいですが、政府の改革は常に小手先です。

この問題は残念乍ら政治家に任せても高齢者の票が欲しい政治家では解決できません。私たち一人一人が自分のこととして議論に加わっていくのが重要です。

シェアする

フォローする