死ぬまで働け社会でいいのか?(2)

在職老齢年金制度を廃止するとの報道が出ています。

在職老齢年金制度というのは一定以上の収入のある高齢者の年金を減額するもので、高齢者の就労意欲を削ぐものという批判があります。

一方、年金は本来「払った分を貰う」制度ではなく現役世代が収入のない高齢者を支える制度である以上、年金の本来の趣旨に照らせば収入のある高齢者には年金を支払わないのは合目的的だという意見もあります。

何れも一理あるのですが、厳然たる事実として、在職老齢年金制度を廃止すれば追加で1兆円規模の年金財源が必要となります。

年金の財源が足りない、ということが社会問題になっている今、このタイミングで政府与党が年金財源をさらに圧迫する制度廃止を行おうとするのは何故か。

理由は簡単で、近々行われる参院選挙で高齢者の票を稼ごうとするためでしょう。

然し高齢者も騙されてはいけません。

これで収入があっても年金が減らされない、というのは大間違いで、間違いなく次に待っているのは年金それ自体の支給額削減です。

それを行わなければ在職老齢年金制度を廃止して必要となる財源が確保出来ませんから、これは自明だと思います。

政府与党がずるいのは、参院選前には在職老齢年金制度を廃止のみを打ち出し、年金自体を減らす提案は恐らく参院選後に出そうとしていることです。

この国が最終的に目指すのは、定年などない代わりに年金もなくなり、死ぬまで働かないと生きていけない、そんな社会に見えます。

何度かこのブログでも書いていますが、この問題を解決する唯一の方法は消費税の大幅アップです。

消費税が弱者虐めだといのは大嘘で、生活必需品に対する軽減税率さえしっかり制度設計できて入れば、寧ろ贅沢品をたくさん買う金持ちこそ税金を払うことになるので、間違いなく弱者優遇、社会保障費用の財源としては最適です。

少なくともそういう議論をきちんとしないまま、ズルズルと間違った方向の年金改革だけが進んでいくことに、大いに疑問を覚えます。