2019年6月25日付ブルームバーグ配信記事によれば、著名な投資家であるジョージ・ソロス氏やフェイスブック共同創設者のクリス・ヒューズ氏等のスーパー富裕層がアメリカで「富裕税」の導入を呼び掛けているそうです。
今、世界では所得格差が広がり、その結果としてポピュリズム政治が蔓延しつつあります。
グローバル化や国際化は人々の生活を向上させる良いこと、という考えは既に過去のもので、アメリカのみならず世界の多くの国が自国第一主義、保護貿易、移民反対、といった内向きな保守主義に傾きつつあります。
アメリカのスーパー富裕層は、「富裕税」を導入することで財源を確保して所得格差の是正を行うのみならず、気候変動や公的保険への資金を捻出するべき、と主張しています。
具体的には、5千万ドル(約54億円)以上の資産に2%、更に10億ドルを超える資産には追加で1%の税を課すべき、としています。
この考え方に全面的に賛成です。
インターネットの急速な発展に伴い、才覚を生かして一攫千金が可能となったのは決して悪いことではありません。
然しその結果としてZOZO前澤社長に代表されるように、俺が稼いだ金はどんな使い方をしても良いのだ、と下品なお金のバラマキをするような輩も出てくるようになってしまいました。
もちろん、自分で稼いだお金なのだからどう使おうと俺の勝手だろう、というのは法律的にはその通りでしょう。然し、だからと言って「上から目線」のバラマキをする人が続出すれば稼げない人の神経を逆撫でし、より一層ポピュリズムを蔓延させる一因にもなりかねません。
そうであれば、最初から税として徴収し強制的に社会貢献頂く、一方で富裕税の高額納税者を公表することで社会貢献を称賛する、という方が社会全体にとってはプラスです。
この税制を具体化するには、土地や宝石といった価格算定が困難な資産をどう扱うか、導入した国に住む富裕層が海外移住してしまうリスク、等、クリアしないとならないハードルが多々あり、そう簡単ではありません。
そもそもこうした「資産課税」が一度導入されてしまえば、スーパー富裕層のみならず何れは一般市民にも課税してくるのではないか、という疑念もあります。
それでも「下品な金持ち」にきっちり社会貢献頂く為、こうした制度の検討をしてみても良いのではないでしょうか。