もし日米安保条約が破棄されたら?

2019年6月26日付の時事通信によれば、日米安保体制についてトランプ米大統領が「日本が攻撃されれば米国は彼らを守るために戦うが、米国が支援を必要とするとき、彼らにできるのは(米国への)攻撃をソニーのテレビで見ることだけだ」と述べ、日米安保の負担が偏っていることに不満を述べたそうです。

更にブルームバーグ通信によれば、トランプ大統領が側近に「日米安保条約は一方的」として破棄に言及したと報じています。

日米両国政府は条約破棄を否定していますが、然し私たち日本人は、仮に日米安保条約が破棄された場合、私たちに何が起きるのか、何をしなくてはならないのか、をシミュレーションしておくべきではないかと思います。

日米安保条約(正式名「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」)の片務性については、トランプ大統領に限らず米国議会から批判を受けた経緯もあります。

そもそも安保条約が締結された当時、米国にとって日本はソ連・中国・北朝鮮という共産圏に対峙する「最前線」であり、日本を守ることが共産圏の拡大を防ぐ、という大きな意義がありました。

然し現時点において、米国にとっては莫大なコストを投じてまで日本を防衛する意義は当時より薄れており、日米安保を日米双方公平な内容にすべき、という意見が出るのは驚くに値せず、寧ろ自然な流れだと言えます。

仮に日米安保条約が破棄された場合、私たち日本人が取り得る選択肢は、①そのまま何もしない、②憲法を改正し自衛隊を正式に軍隊として増強する、③米国以外の片務性を受け入れてくれる軍事パートナーを探す、が有り得ます。

このうち現時点では、③は成り手がいる筈もありませんので、①か②が現実的な選択肢です。

①の「何もしない」、即ち米軍が撤退し日本の防衛は日本国自身で行う、然し自衛隊の存在は現状のまま専守防衛、という状態で果たして日本国の防衛が可能かどうか、がポイントです。

恐らく一定の人たちは「それでも日本の安全は問題ない」と主張するでしょうが、それは余りにも国際情勢を甘く見ているとしか思えません。

今、世界で最も軍事的に不安定な場所は日本を含む東アジア地域です。ここで具体的な軍事対立が表面化してこなかったのは、米軍という大きな楔が撃ち込まれれていたからであり、仮に米軍が日本から撤退するようなことがあれば、東アジアの軍事バランスが崩れ、いつ何があってもおかしくない状況に陥るでしょう。

従って消去法的に、②のシナリオ、即ち憲法改正と自衛隊の軍隊化、及びその増強、を日本国民全員で真剣に検討すべき時期が来ているものと思います。