変わりつつある労働者の定義に向き合うべし

一部コンビニオーナーが声を上げ続けたことで漸くその闇が浮き彫りになりつつあるコンビニ業界。

24時間営業強制は徐々に緩和されつつありますが、まだまだ多くの問題が山積する中でも最大級の問題が、コンビニオーナーの位置付けです。

コンビニのオーナーは、法律上は紛れもない事業主・中小企業の経営者ですが、①オーナー自ら現場に立たないと経営が成り立たず実質的には労働者であること、②フランチャイズ契約で多くの自由裁量が制限されており実態的にはコンビニ本部から雇われているのと同程度の自由しかないこと、に鑑みれば、実態は労働者だとも言い得ます。

ところがフランチャイズ本部のみならず、労働組合と使用者の間の労働争議を調整する立場の中央労働委員会すら、コンビニオーナーは労働者ではない、と定義付けしてしまっています。

かつて牛丼チェーン店の店長は管理職なので残業代は払わない、で有名になったワード「名ばかり管理職」。

昨今では多くの大企業でバブル入社組が続々と役職定年を迎え、社内の等級では管理職だが実態は一労働者、然し残業代は出ない、という事例が増えて来ています。

元管理職として相応の処遇を得ている、というのがそうした名ばかり管理職を許容し得る説明ですが、実態が管理者ではなければ、そこに給与の多寡は無関係ではないか、労働者かどうか、組合に加盟できるかどうか、はあくまでも労働実態に合わせるべきだと考えます。

最近では更に個人で請け負う仕事が増えつつあります。IT系などは独立して個人事業主として働いてる方も少なくありませんが、その多くは大手企業の下請け労働者というのが実態ですし、うーば!いーとウーバーイーツの配達員などは、法的には個人事業主ですが、労働実態はどう見ても労働者です。

このように、経営者・管理者と労働者の定義が、法律や税制と実態とで乖離しつつある現状を踏まえ、もっと大胆で抜本的な法改正に手をつけるべき時期ではないかと感じます。