ポピュリズムの台頭を憂う

日本では米トランプ大統領の言動に否定的な識者が少なからずおられるのと、また報道でもネガティブなトーンで伝えているメディアが多いかと思います。

然しあれだけ問題発言を連発し続けているにも拘らずトランプ大統領の支持率は4割前後で安定しています。つまり、支持者にとっては問題発言もスキャンダルも織込済みだということです。

実は我が国も同様で、現政権の周辺では次々と問題が起こっているにも拘らず、安倍政権の支持率は殆ど下がっていません。

この二人のリーダーの支持率が下がらない最大の理由は、(結果的に、又は短期的に、かもしれませんが)経済面で国民にメリットを与えてくれた、与えてくれそうだ、という点でしょう。

今までは、政治を動かしているのは高い教育を受けた、所謂「エリート層」でした。

そうしたエリート層の常識からすれば、トランプ大統領がメキシコとの間に壁を作るなど人権上・人道上許されない事、でまず支持されることなど無かったのだろうと思います。

然し現在、アメリカの政治を動かしているのはノンエリート層です。工場の一般ワーカーにとってメキシコとの間に壁が出来て不法移民が流入しなくなるということは、仕事が増える・仕事を奪われない、という歓迎すべきことなのです。

わが国では、年齢が下がるほどに安倍政権の支持率が上がる傾向にあります。アメリカのような「エリート」と「ノンエリート」のような分化はしていませんが、経験のある年齢層からすれば「それはおかしい」と思えることも、若い世代にとっては政権の不祥事よりも自らの生活の安定、仕事の有無、が重要だということを表してます。

実はこのポピュリズム的な傾向は日米に限りません。イギリス、フランス、ドイツでも同じような動きになっており、あの中国ですら実は世論を無視できない状況になりつつあります。

勿論、国民の多数の意見を聞くこと、それ自体は悪い事ではありません。然し、人類の普遍的な価値を保とうとする努力よりも、目の前の自分の利益を優先する政治が当たり前になってしまったら、その先にあるのは・・・・