米朝首脳会談は多くの識者が予想していた「ICBMの放棄と制裁の一部解除」という着地シナリオとはなりませんでした。
日本国政府としては、ICBMのみ廃棄され我が国の上空を飛ぶノドンやテポドンはそのまま温存されてしまう、という「最悪のシナリオ」が回避出来たことを以って良しとしているようです。
然し、これで寧ろ北朝鮮が経済的危機に陥り「逆ギレ」するリスクは間違いなく高まりました。かつて日本が資源兵糧攻めに耐えかねて勝ち目のない日米開戦に突入していったシナリオが繰り返されないことを祈るばかりです。
今こそ日本が北朝鮮との対話に向き合うべきと思いますが、その際にネックとなるのは拉致問題です。
日本国政府は拉致問題の解決無くして北朝鮮との対話無し、とのスタンスですが、前回も書きました通り、既に拉致被害者の方が亡くなられている可能性はあると思います。にも拘わらず、被害者を返してくれなければ対話しない、というスタンスでは永久に問題は解決しません。
我が国が北朝鮮と正面から向き合う為には、拉致被害者の一部は既に亡くなられている可能性も念頭に置かないとなりません。被害者ご家族の方には辛い判断かもしれませんが、「被害者を返して」の次のステップ、即ち「被害者がもし既に亡くなったのであれば遺骨を返して欲しい。墓参りをさせて欲しい。生きざまを教えて欲しい」といった要求にシフトすることも是非念頭に置いて頂きたいと思います。
恐らく、被害者ご家族の方がそのご決断をされない限り、日本と北朝鮮の間の対話は一歩も先に進まないと私は思います。