中小企業というだけで守られるべきなのか(2)

前回、中小企業といえども効率化しない、時代から取り残された企業は市場から退場せざるを得ないという話を書きました(「中小企業というだけで守られるべきなのか」)。

この問題と、以前に書いたコンビニ問題(「コンビニは本部が儲かるようになっている」)の根っこは実は同じだと思っています。

今、コンビニ業界は人手不足を最大の要因として24時間営業の見直しが経営課題となっています。コンビニがフランチャイズをドミナント戦略と称して儲かるエリアに集中的に出店、その結果、売上低下に加えてバイト集め競争も激化し、オーナーとその家族自らが深夜早朝も含め休みなくレジに立たないと24時間営業を維持できない状態に陥っています。

この問題はコンビニ業界特有の事情(フランチャイズの仕組上、経費後で赤字でも売り上げさえ増えれば本部は儲かる、フランチャイズオーナーは法律上は経営者といいつつ実際には本部の従業員に近い位置づけ、等)もありますが、最大の問題の一つは「労働者が集まらないこと」にあります。

では何故集まらないのか?

理由は簡単です。労働内容に賃金が見合っていないから、です。

現在、若者は人口が減っている一方で企業は雇用を増やしていますので、そもそも安い賃金では集まりません。また特に大手企業ではバブル採用の中高年が大量に余っていますが、年功序列で上がった給与を下げてまで転職する中高年はそうそういないでしょう。

結局、今起こっている問題の根幹は、労働力の需要と供給バランスと賃金がマッチしていない、ということです。

今まで低賃金で経営者が(左派的な表現で好きではありませんが)労働者を「搾取」してきた結果、そのような処遇では若者は集まらない、人余りの中高年も移ってこない、というのが今の問題です。

従って解決するのは簡単で、「人手不足」なのではなく、単純に低すぎる賃金を引き上げるのが本来のあるべき姿だと言えます。

そんなことをしたらコンビニのような中小企業は倒産してしまう、という意見が必ず出るでしょうが、本来払われるべき賃金が払えない企業は市場原理で退場を求められるのが当然です。

「人手不足」が問題なのではなく「不当に安い賃金」が問題だいう点にもっと正面から向き合って解決していくべきだと思います。