選挙の時期になると毎回気になるのが「世襲議員」の存在です。
本来、議員とは私たち国民、住民の代表です。私たち一人一人が直接行政に意見を出すことは難しく現実的ではないので、代表者を選んでその代表者から意見を出して貰う、私たちは自分の意見を代弁してくれる代表者を選挙を通じて選ぶ、これが所謂「間接民主主義」の考え方です。
ところが現在の日本の政治家は、そうした「私たち一般人の代表」というのとは少し違う、所謂「世襲議員」が非常に多いという特徴があります。
主な理由は、
・そもそも普通の勤め人が立候補するには一般的には仕事を辞めなければならず(辞めなくて良いとしている職場も極稀にあるようですが)、結果、普通の人はそもそも立候補が難しい
・日本人は選挙の際、政策よりも人で選ぶ傾向がある為、政治家という職業を親子で「引き継ぐ」ことに違和感を覚えず、知名度が高い議員の子供は当選し易い
・資金管理団体で資金をプールすることで相続税に悩まされることなく政治資金を継承出来る為、選挙に有利
といったところでしょうか。
世襲の人が議員となるメリットは、
・親の仕事を見て育っているので政治家としてやるべきこと、大事な肝が判っている
・比較的当選し易いので、その時々の世論動向に左右され過ぎずブレない政策を推進出来る
一方でデメリットは、
・世襲化することで一般人の感覚と距離が出来てしまう
・一部の人の利益代表者・利益誘導者になり易い
・権力・権限が特定の一族に集中してしまう
といった点が挙げられます。
世界的にポピュリズムが拡大しつつある中、短期的な世論動向で極端に行きやすい通常の議員に比べれば、安定地盤を持つ世襲議員が多い方がポピュリズムに陥りにくい、という意味では、必ずしも世襲議員が悪いとは思いません。
とは言え、現状のように世襲議員が異様に多いのもまた「私たちの代表」と呼ぶには大いに違和感があります。具体的な数値を調査したことはありませんが、先進国でここまで世襲議員比率が高いのは日本くらいではないでしょうか。
日本は、もう少し一般人が立候補し易い選挙制度にする必要性を感じます。
具体的には、
・サラリーマンが立候補しても退職不要、落選すれば職場に戻れる、当選しても任期が終われば職場復帰できる、ということを法律で担保する
・あまりにも高額な供託金制度を改める
・インターネット上の選挙活動や投票をより開放・促進することで資金の無い人でも政策を訴えやすくする
・議員の連続当選回数に制限を設ける
といった方法が有効です。
選挙改革の権限を有するのが選挙で当選した人、という矛盾があるので選挙改革は一般的に遅々として進みませんが、少子高齢化が進む中、お金のない若いサラリーマンでも、もっと容易に立候補出来るような選挙制度があるべきではないか、と感じています。