第1回は東大上野名誉教授の入学式祝辞、第2回は私自身の通勤ラッシュ体験、に基づいて「日本は冷たい国ではないか」とのコメントを書きましたが、英国の「Charity Aid Foundation(CAF)」という団体が発表している「世界寄付指数」の2018年版では、日本は調査対象144カ国中128位という驚きの結果となったそうです。
この指数は、
(1)Helping a stranger (見知らぬ人への補助)
(2)Donating money (寄付金額)
(3)Volunteering time (ボランティアに費やした時間)
の3つから算出しているとのことで、日本は(2)が99位、(3)が56位、(1)に至ってはなんとほぼ最下位の142位、となっています。
日本は寄付に対する税制優遇制度が少ない為に(2)が低位であること、学校教育でボランティアの重要性を教えていないので(3)も低位であること、は、ある意味では当然の結果です。
(2)と(3)は改善出来る余地があると思うのですが、(1)「見知らぬ人への補助」が世界でもほぼ最下位だったことは、現代の日本人の本質が出たのではないかと感じます。
私が子供の頃、私が悪さをすると近所のおじさんやおばさんから叱られたりしましたし、見ず知らずの人が困っている様子なら「どうしましたか」と声を掛けたりするのもよく見かける光景でした。
然し最近では、私も子供が悪さをしても叱ったりしません。迂闊に叱ったりすると、何を言い返されるか分からない、と思うからです。困っていそうな見ず知らずの人に声を掛けるのも、何をされるのか判らず怖い、と思ってしまいます。
どうも日本では他人と距離を取ることが普通になってしまったようです。
ここに、1回目に書いた「自己責任論」、2回目に書いた他者への思いやりのなさ、が加わって、日本は世界でも有数の「冷たい国」に陥ってしまっています。
冒頭に紹介したCAFの調査は基準がおかしいのではないか、という反論もあるようですが、私は自分自身の海外生活との比較実感から、納得出来る結果だと思います。
日本はこれからどんどん人口が減り、他者の支援が必要な高齢者比率が上がっていくので、日本人同士が支えあう、助け合う、という精神を持たないと、更にギスギスとした社会になることは確実。
そうなる前に、思いやり精神を日本人に思い出させないと、この国は急速に進む少子高齢化の中で静かに沈んでってしまうでしょう。
まずは私たち一人一人が、日本は冷たい国だということを自覚した上で、出来るところから改善していくべきだと思っています。